暗い母銀河に明るい超新星

著者 :山岡均(九大理)

Subject: vsolj-news 263: SN 2011K

超新星は、星が生涯を終えるときの大爆発です。したがって、星が多い場所のほうが数が多く、超新星探しを目指す人は、星の大集団である銀河をひとつひとつ撮影して、前回にはなかった光点が出現しているかどうかをチェックするのが常道です。しかし近年、広い視野を監視する捜索システムが稼働し、母銀河がはっきりしないところに現れる超新星が捉えられることが増えてきました。今回の超新星2011Kは、そのようなものの一例です。

超新星2011Kは、カタリナ即時突発天体サーベイ(CRTS)チームが発見したものです。このチームは、地球接近小惑星を捉えるのを主目的として撮影された画像から、変動天体や突発天体を検出しています。位置は赤経4時45分30.38秒、赤緯-7度20分52.7秒(2000年分点)です。発見の日時は1月13.19日(世界時、以下同様)、発見時に15.1等級と、超新星だとするとまずまず明るいものですが、この近辺には明るい銀河はありません。過去画像をよくよく見ると、19等ほどの広がった天体がありますが、母銀河かどうかははっきりしません。

岡山県の美星天文台で13.6日にこの天体の分光観測が行なわれ、天体がIa型の超新星であり、極大の数日前であることが明らかになりました。超新星が標準的な膨張速度をしていると仮定すると、超新星までの距離は70Mpcほどとなり、発見時の明るさは典型的なIa型超新星のものと考えて話が合います。とすると、母銀河は19等以下、つまり絶対等級が-15等以下の暗いもので、星の数は銀河系の1/100以下と、かなり少ないと考えられます。このような、星の少ない銀河に出現する超新星は、貴重な学術的なサンプルになると期待され、今後が注目されます。

なお、2011年から、国際天文学連合(IAU)の天文電報中央局(CBAT)は、超新星などの太陽系の外の突発天体の発見や確認、分光観測の情報を取り扱うWebページを開設しました。登録した観測者は、発見/確認/分光観測の情報を投稿でき、即時の情報交換が可能になっています。これに伴い、超新星の符号は、分光確認がなされた後に付与されることとなりました。詳しくは下記の突発天体確認ページをご参照下さい。

SN 2011KについてのCRTSのページ:http://nesssi.cacr.caltech.edu/catalina/20110113/1101130070264123135.html
天文電報中央局の突発天体確認ページ:http://www.cbat.eps.harvard.edu/unconf/tocp.html

参考文献:

2011年1月15日

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