年明け早々に爆発直後の明るい超新星発見

著者 :山岡均(九大理)

昨年末から冬型の気候が続き、荒れ模様の日本海側、晴天の太平洋側となっています。山形県山形市にお住まいの新天体捜索者の板垣公一(いたがきこういち)さんは、冬になると雪雲を避けて、栃木県高根沢町に設けた施設で天体捜しをされています。今回の超新星は、その高根沢町で発見されたものです。また、広島県広島市の坪井正紀(つぼいまさき)さんも、同じ超新星を独立に発見しています。

板垣さんは、1月7.431日(世界時、以下同様)に同所の30cm反射望遠鏡で撮影した画像上に、15.8等の光点を見つけました。遡って調べてみると、1月2.447日には18.5等より明るい天体はありませんでしたが、5.570日には17.5等級で写っていることに気付きました。新しい天体の位置は、

赤経   8時55分48.50秒
赤緯 +78度13分02.7秒 (2000年分点)

で、きりん座のレンズ状銀河NGC 2655の中心核から東に32秒角、南に21秒角のところにあたります。天体は、埼玉県上尾市の門田健一(かどたけんいち)さんや宮城県大崎市の遊佐徹(ゆさとおる)によって存在が確認されました。また、坪井さんは8.459日に15.7等でこの超新星を独立発見しています。仙台市天文台の小石川正弘(こいしかわまさひろ)さんは、1月3.735日撮影の画像には19.0等より明るい天体はその位置にないことを報告しています。爆発後間もない発見だったことが期待されます。

カナダの天文台でこの超新星のスペクトルが観測され、極大前のIa型超新星であると報告されています。母銀河は私たちから近く、典型的なIa型超新星であれば極大で13等近くになることが期待されます。今後の光度変化に注目が集まります。

板垣さんの発見画像:http://www.k-itagaki.jp/images/psn2655.jpg
坪井さんの発見画像:http://ftenku.web.fc2.com/astrophoto/NGC2655110108-02.jpg
遊佐さんの確認画像:http://www.palette.furukawa.miyagi.jp/space/images/PSNinN2655_110108.jpg.

参考文献:

2011年1月9日

※ この「VSOLJニュース」の再転載は自由です。一般掲示、WWWでの公開等にも自由にお使いください。資料として出版物等に引用される場合には出典を明示していただけますと幸いです。継続的・迅速な購読をご希望の方は、VSOLJニュースのメーリングリスト vsolj-news にご加入いただくと便利です。購読・参加お申し込みは ml-command@cetus-net.org に、本文が subscribe vsolj-news と書かれたメールを送信し、返送される指示に従ってください。なお、本文内容に対するお問い合わせは、著者の連絡先までお願い致します。