近傍銀河に超新星らしき天体

著者 :山岡均(九大理)

6月に入り、梅雨入りも間もなくとなりました。夏至も近づいて夜が短く、天体観測には少々困難が伴う季節です。そんな折り、日本人アマチュア天文家によって超新星が発見されました。発見したのは、山形県山形市の板垣公一(いたがき こういち)さん、これまで多種多様の新天体を発見してきた、日本を代表するベテラン天体捜索者です。

板垣さんは、5月31.523日(世界時、以下同様)に60cm望遠鏡で撮影した画像に、17.5等級の新しい光点を見いだしました。その位置は、

赤経  10時18分19.89秒
赤緯 +41度26分28.8秒 (2000年分点)

で、おおぐま座の渦巻銀河NGC 3184の中心核から東に33秒角、北に61秒角にあたります。銀河の腕に沿った場所です。天体は、宮城県大崎市の遊佐徹(ゆさとおる)さんによって確認され、公表されました。10日ほど前にはこの位置にこれほどの明るさの天体はありませんでした。

NGC 3184は、距離が10Mpc余りの銀河です。新天体がこの銀河に属するものとして、発見時の絶対等級は−12.8等級ほどで、典型的な超新星よりかなり暗いものです。この暗さが、母銀河内の吸収によるのか、それとも天体の特異性によるのか、今後の分光観測によるタイプの判別や、光度変化の追跡が待たれます。

板垣さんによる発見画像:http://www.k-itagaki.jp/images/psn3184.jpg/

参考文献:

2010年6月1日

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