夕方の南の空に超新星出現

著者 :山岡均(九大理)

春の空はかすみや黄砂で朧になりやすく、天体観測は少し困難なこともある時期ですが、そんななかで日本人アマチュア天文家によって超新星が発見されました。発見したのは、山形県山形市の板垣公一(いたがき こういち)さん、これまで多種多様の新天体を発見してきた、日本を代表するベテラン天体捜索者です。

板垣さんは、5月9.581日(世界時、以下同様)に60cm望遠鏡で撮影した画像に、17.5等級の新しい光点を見いだしました。その位置は、

赤経  13時00分25.79秒
赤緯 -15度17分19.8秒 (2000年分点)

で、おとめ座の渦巻銀河NGC 4877の中心核から西に8秒角、南に19秒角にあたります。銀河の円盤部で、中央の膨らみのすぐ外側に重なって見えます。天体は、宮城県大崎市の遊佐徹(ゆさ とおる)さんによって、アメリカおよびオーストラリアの遠隔操作の望遠鏡で確認され、公表されました。11日現在まで、天体の明るさは発見時からそれほど変化していません。

渦巻銀河の円盤部に出現したため、大質量星の末期である重力崩壊型超新星の可能性が考えられます。発見時の明るさも、この推定と合致します。今後、分光観測によるタイプの判別や、光度変化の追跡が期待されます。

板垣さんによる発見画像:http://www.k-itagaki.jp/images/psn4877.jpg

参考文献:

2010年5月12日

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