かみのけ座銀河団に超新星出現

著者 :山岡均(九大理)

かみのけ座銀河団は、距離およそ3億光年、たいへん多数の銀河からできている「リッチな」銀河団です。そのかみのけ座銀河団に、超新星が発見されました。発見したのは山形市の板垣公一(いたがきこういち)さん、これまで数多くの新天体を発見してきたベテラン天体捜索家です。

板垣さんは、3月11.755日撮影の画像から、16.9等の新天体を見つけました。位置は、

赤経  12時59分24.03秒
赤緯 +27度59分47.1秒 (2000年分点)

で、もっとも近くにある銀河の中心から12秒角西、1秒角南にあたります。この天体は、海外の研究者たちのグループによっても独立に発見されました。また、分光観測がなされ、極大数日前のIa型超新星であると判明しています。

リッチな銀河団では、銀河どうしが衝突した結果、楕円銀河が多くなります。今回の超新星からもっとも近くにある銀河(おそらく超新星の母銀河)も楕円銀河です。楕円銀河では星生成活動は不活発なので、寿命が短いために星生成からほどなく爆発する重力崩壊型の超新星は見られず、星誕生から爆発までにより長い時間が必要な核爆発型(Ia型)超新星のみが観測されます。今回の超新星は、この考察にあてはまるものと言えるでしょう。

板垣さんの発見画像:http://www.k-itagaki.jp/images/psn-anon.jpg

参考文献:

2010年3月15日

※ この「VSOLJニュース」の再転載は自由です。一般掲示、WWWでの公開等にも自由にお使いください。資料として出版物等に引用される場合には出典を明示していただけますと幸いです。継続的・迅速な購読をご希望の方は、VSOLJニュースのメーリングリスト vsolj-news にご加入いただくと便利です。購読・参加お申し込みは ml-command@cetus-net.org に、本文が subscribe vsolj-news と書かれたメールを送信し、返送される指示に従ってください。なお、本文内容に対するお問い合わせは、著者の連絡先までお願い致します。