夜明け前の東の空に、夏の天の川が見えるようになると、新星発見のシーズンが始まります。その口開けとも言える、今年初の銀河系内の新星発見のニュースがありました。発見されたのは、静岡県掛川市の西村栄男(にしむらひでお)さん、これまでにも多数の新星を発見してきたベテラン天体捜索者です。
西村さんは、1月15.857日(世界時、以下同様)にデジタルカメラで撮影した画像上で、8.4等級の見慣れない光点に気付きました。遡って調べてみると、13.86日撮影の画像には9.5等より明るい天体はありませんでしたが、14.865日撮影の画像では、画像の限界に近い10.1等ほどで写っていました。さらに、山形市の板垣公一(いたがきこういち)さんが16.860日に、埼玉県上尾市の門田健一(かどたけんいち)さんが16.860日にこの天体を確認しています。天体の位置 (板垣さんの測定)は、
赤経 17時39分40.94秒 赤緯 -21度39分47.9秒 (2000年分点)
で、へびつかい座の脚のあたりになります。昔の画像では、この位置に20等級より明るい星はありません。2秒角ほど離れた位置には、赤等級が16等級台の赤い星がありますが、新星とこの星とが関係あるかどうかを含め、今後の詳細な観測が期待されます。
参考文献:
- CBET 2128 (2010 Jan. 16)
2010年1月17日
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