星の一生の最期を飾る大爆発である超新星は、遠方の銀河を含めると毎年数百個が発見されています。しかし、ひとつの超新星を詳細に観測して、新たな知見を得られるような、近くて明るい超新星は、それほど多くはありません。年間数個もあるかどうか、といったところでしょうか。そんな近傍の超新星が、先月末(VSOLJニュース226)に引き続いて日本人によって発見されました。発見したのは、山形市のベテラン天体捜索者、板垣公一(いただきこういち)さんです。
板垣さんは、12月4.81日(世界時)に撮影した画像から、16.5等級の新天体を見つけました。新天体の位置は、
赤経 10時48分26.28秒 赤緯 +12度32分02.8秒 (2000年分点)
で、しし座の渦巻銀河NGC 3389の中心核から、24秒角西、3秒角北にあたります。板垣さんの発見画像は、http://k-itagaki.jp/images/psn-3389.jpg で見ることができます。
板垣さんが11月7.72日に撮影した画像では、同じ位置には18.0等級より明るい天体はありませんでした。新天体は、宮城県大崎市の遊佐徹(ゆさとおる)さん、埼玉県上尾市の門田健一(かどたけんいち)さんによって確認され、超新星2009mdの符号が付けられています。
この銀河には42年前に、Ia型超新星1967Cが出現し、13等級まで明るくなりました。今回の超新星2009mdがどのような変化を見せるか、スペクトルによるタイプ判別を含め、これから楽しみが多い天体です。
参考文献:
- CBET 2065 (2009 Dec. 5)
2009年12月7日
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