オリオン座の腰から南西に流れる川の星座エリダヌス座に、8等級の明るい新天体が見つかりました。新星のような光度変化を見せています。見つけたのは、山形市の板垣公一(いたがきこういち)さん、これまでたくさんの新天体を発見されてきたベテラン捜索者です。
板垣さんは、21cm望遠鏡を用いて構築している捜索システムで11月25.536日(世界時、以下同様)に撮影した画像上で、8.1等の天体に気付きました。60cm望遠鏡で同領域を撮影し、天体の位置を精確に測定したところ、
赤経 4時47分54.21秒 赤緯 -10度10分43.1秒 (2000年分点)
となりました。
南米チリで自動観測を続けているASAS-3システムでも、この天体が捉えられていました。明るさの変化を追ってみると、
11月10.236日 14.0等以下 19.241日 7.34等 22.179日 7.98等 24.269日 8.12等
となっています。光度変化が早い古典新星で見られるような変化です。
板垣さんは以前に撮影した画像を調査し、同じ位置に15等ほどの星があることも報告しています。星のカタログを調べてみると、確かに15等程度の青い星がほぼ同じ位置にあり、この天体が増光したのかもしれません。7等級の増光幅は、矮新星にしてはかなり大きい部類ですが、古典新星のうち光度変化が早いものとしては小さい値です。今後の分光観測や連続測光観測によって、天体の素姓が解明されていくことが望まれます。
参考文献:
- CBET 2050 (2009 Nov. 26)
2009年11月26日
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