近傍銀河に増光中の超新星

著者 :山岡均(九大理)

うさぎ座の棒渦巻銀河NGC 1832に超新星が発見されました。この銀河は比較的私たちの近くにあり、もし白色矮星が核爆発したもの(核爆発型超新星、スペクトル的にはIa型超新星と分類される)であれば13等級ほどまで明るくなる可能性があります。超新星を発見したのは、山形市のベテラン天体捜索家、板垣公一(いたがきこういち)さんです。

板垣さんは、11月6.73日(世界時、以下同様)に撮影した画像に、16.0等の超新星を見つけました。この天体は、宮城県大崎市の遊佐徹(ゆさとおる)さん、埼玉県上尾市の門田健一(かどたけんいち)さんによって確認され、超新星2009krの符号が付与されました。超新星の位置(板垣さんの測定)は、

赤経   5時12分03.30秒
赤緯 -15度41分52.2秒  (2000年分点)

で、母銀河であるNGC 1832の中心からほぼ真南に36秒角のところにあたります。発見翌日(7.607日)の板垣さんの観測では、超新星は15.7等と少し明るくなっており、増光中であることが推測されます。発見画像は http://www.k-itagaki.jp/images/ngc1832.jpg で見られます。

NGC 1832は、私たちから1億光年弱の距離にある、割合に近い銀河です。この銀河に、超新星のなかでも明るいものである核爆発型超新星が出現すれば、その極大等級は13等ほどになると期待されます。今後の明るさの推移と、スペクトル観測による型の判別が待たれます。

参考文献:

2009年11月8日

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