残暑厳しいとはいえ、秋分も間近となり、徐々に夜も長くなってきました。観測時間が長く取れ、一晩で観測できる空の範囲も広くなるため、天体発見も増えてくるかもしれません。その皮切りでしょうか、山形市の板垣公一(いたがきこういち)さんが、エリダヌス座の方向に、超新星を発見しました。エリダヌス座と言えば冬の星座ですが、明け方にはじゅうぶん観測できるほど昇ってきています。
板垣さんは、24.73日(世界時、以下同様)に撮影した画像上で、15.6等の明るさの新天体に気づきました。新天体の位置は、
赤経 3時33分22.07秒 赤緯 -4度59分56.4秒 (2000年分点)
で、母銀河であるNGC 1355の中心から西に21秒角、南に2秒角弱のところにあたります。宮城県大崎市の遊佐徹(ゆさとおる)さんは、25.65日にオーストラリアのリモート望遠鏡を用いてこの天体を確認しています。新天体には、超新星2009imの符号がつけられました。
NGC 1355はレンズ状銀河と呼ばれる形状をしています。レンズ状銀河は、楕円銀河と同様、星生成が不活発な銀河であると考えられています。したがって超新星2009imは、寿命が短い大質量星が起源となる「重力崩壊型」ではなく、星の誕生から爆発までに時間がかかる「核爆発型」の超新星ではないかと考えられます。今後、分光によるタイプ判別や、光度変化の追跡が楽しみです。
参考文献:
- CBET 1925 (2009 Aug. 25)
2009年8月26日
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