いて座に今年3個目の新星が出現、増光中

著者 :山岡均(九大理)

夏の南の夜空を彩るいて座は、私たちの銀河系の中心方向にあるので、領域内の星がたいへん多く、変光星や新星といった天体も大量にみつかっています。そのいて座に、今年3個目の新星が発見されました。発見したのは、福岡県久留米市の西山浩一(にしやまこういち)さん、佐賀県みやき町の樺島冨士夫(かばしまふじお)さんのチームです。彼らは今年4月にもいて座に新星を発見している、たいへん熱心な捜索者です。

 彼らは、8月6.494日(世界時、以下同様)に、焦点距離105mmのカメラレンズとCCDで撮影した画像から、7.7等級の新天体に気付きました。直後に40cm望遠鏡で撮影した画像で測定した位置は、

赤軽 18時07分07.67秒
赤緯 -33度46分33.9秒 (2000年分点)

でした。この位置には、7月22.531日などに撮影した画像には、12.7等級より明るい天体は写っていませんでした。また、全天自動サーベイシステムASAS3も、6.182日にこの天体を独立発見しています。ASAS3で4.152日に撮影した画像では、この位置には天体は見られません。おそらく増光後間もなく発見されたものと思われます。

 岡山県の藤井貢(ふじいみつぐ)さん、広島大学のかなた望遠鏡は、7日にこの天体の分光観測を行っています。その結果、天体は毎秒2000kmを超える高速で膨張しており、古典新星であることが判明しました。7日にはやや増光しているとの報告もあり、今後の変化が楽しみです。

参考文献:

2009年8月8日

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