銀河が数百個から数千個も集まってできている「銀河団」では、たびたび銀河の衝突が起きてきたと考えられています。衝突の結果、いくつかの銀河は合体して大きな楕円銀河となり、銀河団の中心的な存在となります。そのような銀河のひとつ、ペガスス座のNGC 7647に、超新星が発見されました。発見したのは、日本屈指の超新星ハンター、山形市の板垣公一(いたがきこういち)さんです。
板垣さんは、7月10.722日(世界時、以下同様)撮影の画像から、18.0等の新天体に気づきました。改めて以前の画像を調べてみたところ、5.724日にも18.7等で写っていることがわかりました。これとは独立に、アメリカのLick天文台に置かれたKatzman自動撮像望遠鏡も、10.49日に17.6等、11.47日に17.7等でこの天体を発見しました。板垣さんが測定した超新星の位置は、
赤経 23時23分56.24秒 赤緯 +16度46分30.0秒 (2000年分点)
で、銀河の中心から西に17秒角、南に8秒角にあたります。
母銀河が星生成が活発ではない楕円銀河であることから、この超新星は、短寿命の大質量星起源である「重力崩壊型」ではなく、連星をなす白色矮星に伴星からガスが流れ込んで、白色矮星が中心で核爆発を起こした「核爆発型超新星」である可能性が高そうです。5億光年強と推定される距離からも、発見時の明るさは核爆発型超新星の極大前〜近くと考えてよさそうです。今後の分光観測によるタイプ判別が待たれるところです。
参考文献:
- CBET 1872 (2009 July 12)
2009年7月12日
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