遠隔地の望遠鏡で超新星発見を確認

著者 :山岡均(九大理)

6月に入って、日本列島はまもなく梅雨の季節。各地で曇り空となり、天体の発見や確認が思うようにいかない頃です。そんな中、ひじょうに活発に超新星捜索を続けておられる、山形市の板垣公一(いたがきこういち)さんは、明け方の空にあるアンドロメダ座の銀河NGC 846に15.7等の超新星を発見されました。

板垣さんが超新星に気づいたのは、6月1.746日(世界時、以下同様)に撮影した画像でした。日本時間でいうと、2日の未明にあたります。超新星の位置は、

赤経   2時12分09.00秒
赤緯 +44度33分55.0秒  (2000年分点)

で、渦巻銀河NGC 846の中心から36秒角西、11秒角南にあたります。

通常、超新星などの新天体は、発見者自身が次の夜に確認するか、別の観測者によって確認されたのちに公表されます。しかし2日から3日にかけて日本全国の天気は下り坂で、板垣さん自身や日本国内の天文台では確認観測をすることはできませんでした。そこで、精力的に変光星を観測しておられることでも知られるつくば市の清田誠一郎(きよたせいいちろう)さんは、アメリカのニューメキシコ州に置かれた望遠鏡をインターネット越しに遠隔操作して3.45日にこの天体を観測し、超新星が実在することを確認しました。これを受けて新天体は、超新星2009fuと命名され、公表されることになりました。

天体の発見・確認には、多数の人々がさまざまな手段で尽力されています。改めてそのご努力に敬意を表したいところです。

参考文献:

2009年6月4日

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