日本で発見された超新星を日本の公開天文台で分光

著者 :山岡均(九大理)

超新星のような爆発現象は、時々刻々と変化していきますから、爆発直後の情報は、あとになっては知ることができません。また、発見後には超新星からの光を波長別に分けて調べる「分光」観測によってタイプ判別を行なってはじめて、その超新星の素性がわかり、さらなる追跡観測の方針を立てることができるようになります。変動天体の追跡観測は、まさに「一刻を争う」のです。

山形市の板垣公一(いたがきこういち)さんは、コップ座の銀河NGC 3905を、4月28.56日(世界時、以下同様)に撮影した画像で、16.8等の新天体を発見しました。天体の位置は、

赤経  11時49分04.11秒
赤緯  -9度43分44.9秒  (2000年分点)

で、NGC 3905の中心核から西に12秒角、北に3秒角のところにあたります。

発見報を受け、群馬県立ぐんま天文台では、この超新星の分光観測に挑戦しました。29日夜には天候に恵まれず、タイプがはっきりするまでには至りませんでしたが、翌30日夜の観測で、この超新星がIa型超新星であること、爆発して最も明るくなる極大の1週間ほど前であることが判明しました。この結果は、世界に先駆け、すぐさま発表されています。

発見に即時観測にと、日本の天文界の活躍はたいへんめざましいと言えるでしょう。

参考文献:

2009年5月1日

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