近距離の銀河に超新星出現

著者 :島田雅史、山岡均(九大理)

 この冬一番の強い寒気が日本列島を覆い、各地に大雪をもたらしています。そうした中、山形市の板垣公一(いたがきこういち)さんが、おとめ座銀河団と同じくらいの近距離の銀河、NGC 4487に出現した超新星を発見されました。

 板垣さんの自宅がある山形市は全国でも有数の豪雪地帯であるため、今回のような寒気がやってくると、悪天候で観測ができなくなってしまいます。そこで板垣さんは、冬でも観測できるようにと、4年ほど前から栃木県高根沢町に観測所を設けて天体捜索に打ち込んでいます。今回は、その観測所に設置された口径30cm反射望遠鏡を用いて1月24.86日(世界時、以下同様)に撮影した画像からの発見でした。超新星の位置は以下のとおりで、母銀河であるNGC 4487の中心核からは東に75秒角、北に18秒角離れたところにあたります。

赤経: 12時31分 9.47秒
赤緯:- 8度 2分56.3秒 (2000年分点)

 発見時の明るさは16.6等で、翌日の25.616日に板垣さんが確認したときも同じでした。埼玉県上尾市の門田健一(かどたけんいち)さん、イタリアのブッジさんもこの天体を確認しています。板垣さんの1月3日の観測では、18等級より明るい星はありませんでした。

NGC 4487までの距離は比較的近いので、これから極大を迎えるのであれば、重力崩壊型でも14等台、核爆発型だと12等台まで明るくなる可能性があります。今後の光度変化の追跡、分光観測によるタイプ決定が楽しみです。

参考文献:

2009年1月26日

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