アンドロメダ座に、肉眼でも見える雲の切れ端のような天体。それは、私たちの銀河系のお隣の銀河である、アンドロメダ座大銀河です。距離は200万光年強で、ここで新星が出現すると16等〜18等ほどに明るくなることが多く、個人所有の望遠鏡でも冷却CCDを組み合わるとじゅうぶんに撮影できます。そのため、このところアンドロメダ座大銀河での新星探しが流行しています。そんな中、たいへん明るい新星が、このアンドロメダ座大銀河で発見されました。発見したのは、山形市の板垣公一(いたがきこういち)さんで、各種の新天体を多数発見されているベテラン捜索者です。
板垣さんは、11月28.642日(世界時、以下同様)に撮影した画像で、14.5等の新しい天体に気付きました。以前の画像を調べてみたところ、2日前の26日にも19等〜18等くらいで写っていた一方、それ以前の画像では見られないことがわかりました。天体の位置は、
赤経: 0時42分26.50秒 赤緯:+42度15分36.7秒 (2000年分点)
です。これまでに板垣さんが撮影した画像から測定した明るさは、
11月26.498日 19.0等 26.538日 18.8等 26.548日 18.8等 26.561日 18.6等 26.564日 18.5等 26.565日 18.4等 26.581日 18.2等 28.642日 14.5等 28.643日 14.5等 28.645日 14.6等 28.651日 14.5等 28.663日 14.6等 28.714日 14.7等 28.739日 14.9等
と、おそらく28日頃に極大(もっとも明るい時期)を迎えたものと思われます。絶対等級で-9等を越える、新星のなかでも特に明るいものと推定されます。
新星は明るいものほど光度変化が速いことが知られており、今回の新星も明るい状態なのはたいへん短いと思われます。この週末、アンドロメダ座大銀河を撮影して、新しい星を体験してみるのはいかがでしょうか。
参考文献:
- CBET 1588 (2008 Nov 28)
2008年11月29日
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