超新星をはじめとする爆発天体は、爆発から時間が経つと透けて内部のようすが見えてくる一方で、外側については爆発直後にしか詳細に調べることができません。爆発後間もなく超新星が発見されると、貴重な研究対象として重視されます。超新星を多数発見してきた山形県山形市の板垣公一(いたがきこういち)さんが今回発見した超新星は、そのような爆発直後のものと推定され、今後の研究が期待されるものと言えるでしょう。
板垣さんは、9月27.78日(世界時、以下同様)前後に60cm反射望遠鏡で撮影したCCD画像から、16.5等の新しい天体を見つけました。天体の位置は、
赤経: 10時16分57.28秒 赤緯: +73度24分36.4秒 (2000年分点)
で、おおぐま座とりゅう座の境界近く(りゅう座側)にある渦巻銀河NGC 3147の中心核から東に16秒角、北に34秒角のところにあります。翌日の28.569日に板垣さんがこの天体を確認したところ、16.1等と明るくなっていました。一方、板垣さんが9月10.80日に撮影した画像では、18.5等よりも明るい天体は写っていませんでした。爆発してそれほど時間の経っていない超新星と推定されます。
この銀河にはこれまでに、超新星1972H(Ia型)、超新星1997bq(Ia型)、超新星2006gi(Ib型)の3個の超新星が発見されてきました。最後のものは、同じく板垣さんが発見されたものです(VSOLJニュース(158))。前2者は極大時には15等ほどとなりました。今回の超新星の分光タイプはまだ決定されていませんが、Ia型(メカニズムとしては核爆発型)であればこれからまだ明るくなるものと思われます。今後の追観測が期待されます。
参考文献:
- CBET 1520 (2008 Sept 28)
2008年9月29日
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