りょうけん座の銀河NGC 4490は、そばにある銀河NGC 4485と衝突中で、腕が伸びたユニークな形をした銀河です。我々からの距離は約8Mpcと近いため、超新星が出現した際にはとても明るく見えることはもちろんのこと、爆発前の画像から超新星になる直前の星(親星)を見つける期待が持てます。
アメリカのリック天文台超新星サーチ(LOSS)チームは、3月3.45日(世界時、以下同様)に撮影したNGC 4490の画像に、16.1等の明るさで写っている新天体に気付きました。翌4.39日にもこの新天体は同じ明るさで観測されのですが、この明るさは、絶対等級に直すと−13.4等にしかならず、超新星としては非常に暗いものです。しかし、4.37日にウィップル天文台で行われた分光観測から、高速で膨張する爆発現象であることが確定し、超新星2008axの符号が付けられました。超新星の位置は、
赤経: 12時30分40.80秒 赤緯:+41度38分14.5秒 (2000年分点)
で、母銀河であるNGC 4490の中心核からは53.1秒角東、25.8秒角南にあたります。
山形市の板垣公一(いたがきこういち)さんも、この超新星を、4.62日に撮影した画像から同じく16.1等の明るさで独立発見されました。また、イギリスのアーバー(R. Arbour)さんが、リック天文台での発見の数時間前(3.19日)に撮影した画像には何も写っていなかったことを報告しており、爆発後間もない超新星であることもわかっています。
さらに、ハッブル宇宙望遠鏡によって爆発前に撮影されていたNGC 4490の画像から、超新星の親星と思われる天体が検出されたことが、LOSSチームのリー(W.Li)さんらによって報告されました。その爆発前の星は、絶対等級などの情報から、青色超巨星または黄色超巨星と考えられます。
今後、さらなる増光が予想されるため、観測の良い対象になるでしょう。また、スペクトルの変化やハッブル宇宙望遠鏡で検出された天体の詳細な解析など、楽しみなことがいろいろと詰まった超新星となりそうです。
参考文献:
- CBET 1280 (2008 Mar. 4)
- CBET 1285 (2008 Mar. 4)
- CBET 1286 (2008 Mar. 5)
- CBET 1290 (2008 Mar. 7)
2008年3月7日