「こぎつね座」は面積は小さな星座ですが、夏の天の川のなかにあるために、数々の新星や変光星が捉えられています。この「こぎつね座」のなかに、新星らしい天体が発見されました。発見したのは、島根県松江市八束町に観測所を構えるアマチュア天文家、安部裕史(あべひろし)さんです。安部さんは、これまでにも小惑星を数々発見されてきた、ベテラン観測者です。
安部さんは、8月8日夕方(8.54日世界時、以下同様)に撮影したデジカメ画像から、9.5等の見なれない星を発見しました。7月23日、31日、および8月4日に撮影した画像には、同じ位置には11.5等より明るい星は写っていませんでした。8.682日に、埼玉県上尾市の門田健一(かどたけんいち)さんが撮影した確認画像で測定された位置は、
赤経 19時54分24.64秒 赤緯 +20度52分51.9秒 (2000年分点)
です。23秒角ほど南西にある12等星とは別の星で、18等ほどの星と位置がかなりよく一致します。この18等の星が増光したとすると、数日間で8等級以上(1000倍強)の増光で、古典的な新星である可能性が高いものと思われます。
今後、スペクトル観測や、光度変化の追跡が期待されます。
参考文献
- CBET 1027 (2007 Aug 8)
2007年8月9日
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