2月にはさそり座で発見された新星(さそり座V1280という変光星名が付与されました)が肉眼でも見えるまでに明るくなり、現在も4等台を保っています。それに加えて、新星がもうひとつさそり座に発見されました。発見者は、先の肉眼新星に引き続いての発見となる三重県亀山市の中村祐二(なかむらゆうじ)さんと、静岡県掛川市の西村栄男(にしむらひでお)さんです。お二方とも、これまであまたの新天体を発見されてきたベテラン捜索者です。
中村さんは、135mmレンズを装着したCCDカメラで、2月19.8593日(世界時、以下同様)に撮影した画像で、9.3等の天体に気付きました。同じ位置を14.8575日に同じ機材で撮影した画像では、12等より明るい天体はありませんでした。また、西村さんは、2月20.8365日およびその直後に撮影した写真で、9.2等の新天体を発見しました。15.8日には11.0等より明るい天体はありませんでした。
この天体は、山形市の板垣公一(いたがきこういち)さんが20.85日に8.8等で確認しました。板垣さんが撮影した位置は、
赤経 16時56分59.35秒 赤緯 -35度21分50.2秒 (2000年分点)
です。さそり座の胴体をかたちづくる星、さそり座εのすぐ近くで、肉眼新星となったさそり座V1280の3度ほど南になります。
西はりま天文台の内藤博之(ないとうひろゆき)さんと鳴沢真也(なるさわしんや)さんは、この天体のスペクトル観測を21.84日に行ないました。その結果、この天体は毎秒1800kmほどの速度で膨張する爆発天体であることがわかり、新星と判明しました。正式な変光星名として、さそり座V1281という名前が与えられています。今後の光度やスペクトル変化の継続観測が望まれます。
参考文献
- IAUC 8810 (2007 Feb. 21)
- CBET 855 (2007 Feb. 22)
2007年2月22日