2月になると、明け方の東の空にはさそり座やはくちょう座が昇りはじめ、天の川に沿って出現する新星が見つかる季節が到来します。今年も、さそり座に新星が発見される頃になりました。発見したのは、日本のベテラン天体捜索者のおふたりです。
三重県亀山市の中村祐二(なかむらゆうじ)さんは、CCDカメラに135mmレンズを付けて新星の捜索をしています。また、茨城県水戸市の櫻井幸夫(さくらいゆきお)さんは、デジカメに180mmレンズの組合せをお使いです。おふたりとも、5日未明(日本時間)の観測で、9等級台の新しい天体に気付きました。2日前の3日未明にもおふたりとも観測されていましたが、その時には天体はとらえられていませんでした。これまで報告されている天体の明るさは以下の通りです。
時刻(世界時) 明るさ 観測者 1月29.8669日 12.0等以下 中村 2月2.8日 見えない 櫻井 2.8662日 11.0等以下 中村 4.8624日 9.9等 中村 4.896日 9.4等 櫻井 5.818日 8.9等 門田健一(かどたけんいち)さん(埼玉県上尾市)
確認観測を行なった門田さんが測定した新星の位置は、
赤経 16時57分41.20秒 赤緯 -32度20分35.8秒 (2000年分点)
です。この位置の3秒角以内には19等より明るい星はありません。10等級(1万倍)以上明るくなったものと考えられます。
西はりま天文台の内藤博之(ないとうひろゆき)さんと鳴沢真也(なるさわしんや)さんは、6日未明(日本時)にこの天体の分光(スペクトル)観測を行ないました。その結果、この天体は極大に近い古典新星であることが明らかになっています。
今年に入っての新星発見は、1月に、ケンタウルス座でチリのリラー(W.Liller)さんが発見したものについで2例目になります。
参考文献
- CBET 834 (2007 Feb. 5)
2007年2月6日
※ この「VSOLJニュース」の再転載は自由です。一般掲示、WWWでの公開等にも自由にお使いください。資料として出版物等に引用される場合には出典を明示していただけますと幸いです。継続的・迅速な購読をご希望の方は、VSOLJニュースのメーリングリスト vsolj-news にご加入いただくと便利です。購読・参加お申し込みは ml-command@cetus-net.org に、本文が subscribe vsolj-news と書かれたメールを送信し、返送される指示に従ってください。なお、本文内容に対するお問い合わせは、著者の連絡先までお願い致します。