板垣さん、M 61に超新星2006ovを発見

著者 :山岡均(九大理)
連絡先:yamaoka@rc.kyushu-u.ac.jp

18世紀のフランスの彗星捜索者シャルル・メシエは、彗星とまぎらわしい、ぼうっとした天体を表にしました。これがメシエ天体で、星雲や星団、銀河など、108個ほどが並べられています。この中に含まれている銀河は38個ですが、私たちから近くにあって明るい銀河が多く、メシエ天体に超新星が出現すると明るく観測されます。

山形県山形市にお住いの板垣公一(いたがきこういち)さんは、11月8日の超新星2006my(VSOLJニュース161)に引き続いて、明け方の空に現われたM 61渦巻銀河の中に超新星2006ovを発見しました。彼自身、今年10個目の超新星発見(独立発見を含む)です。自身が持つ、個人天体発見数(通算/年間)の日本記録を、またもや更新されました。

超新星は、11月24.86日(世界時、以下同様)撮影の画像で、14.9等の明るさで発見され、翌25.764日に確認されました。超新星の位置は、

赤経  12時21分55.30秒
赤緯  +4度29分16.7秒  (2000年分点)

で、おとめ座の渦巻銀河M 61の中心から東に6秒角、北に51秒角の位置にあたります。渦巻の腕の中です。発見画像は、

http://www.rochesterastronomy.org/sn2006/n4303s1.jpg

で見られます。

(転載者註:板垣様から発見画像をいただいています)
SN 2006ov発見画像
[JPEG]
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超新星2006myと同様、これまで何か月かは太陽の背後で観測できなかった方向なので、爆発間もない超新星かどうか関心が集まりましたが、ホイップル天文台での分光観測で、爆発から1か月ほどが経過したII型超新星(水素の線が顕著なもの)であることが判明しています。このスペクトルは、

http://cfa-www.harvard.edu/oir/Research/supernova/spectra/sn2006ov_comp.gif

で見ることができます。

参考文献

2006年11月26日

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