山形の板垣さん、特異?な超新星2006jcを発見

著者 :山岡均(九大理)
連絡先:yamaoka@rc.kyushu-u.ac.jp

山形県山形市にお住まいの精力的な天体捜索者、板垣公一(いたがきこういち)さんが、またもや超新星を発見されました。今回の天体とほぼ同じ方向では、2年前にも板垣さんによって小増光がとらえられており、この天体がどんなものなのか、解明が切望されます。

板垣さんが13.8等級の超新星2006jcを発見したのは10月9.752日(世界時、以下同様)のことです。アメリカのパケット(T. Puckett)さんのグループも独立に10.33日に撮影した画像でこの天体を発見しています。天体の位置は、

赤経  9時17分20.78秒
赤緯+41度54分32.7秒 (2000年分点)

で、やまねこ座の渦巻銀河UGC 4904の中心からおよそ11"西、7"南にあたります。9月21.793日には19.5等より明るい天体はありませんでした。爆発から20日以内の天体ということになります。

国外で得られたスペクトルから、この天体は、秒速5000kmほどで膨張する大気を持つものとされ、爆発天体=超新星であると判明しました。また、そのスペクトルの特徴から、おそらくUGC 4904銀河に属する天体であることもわかりました。スペクトル線は、ヘリウムや酸素の特徴とも考えられるとのことですが、たいへん特異なもののようで、今後の変化と詳細な解析を待つ必要があると思われます。

さて、この天体の位置には、2年前にも板垣さんによって、18等ほどの暗い天体が見つかっていました。当時、1950年代から1990年代に、より大きな望遠鏡で撮影されたアーカイブ画像を調べたところ、この同じ位置には20等ほどの天体が写っている画像もあれば、21等より明るい天体は見られない画像もありました。2年前の天体は、スペクトルが撮影されることもなく暗くなってしまい、そのときは謎のまま、公表されませんでした。今回の超新星が、このときの天体と関係があるのか、また今回の超新星の正体がどのようなものなのか、今後の研究の進展がたいへん期待されます。

参考文献

2006年10月13日

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