星全体の爆発である超新星は、爆発から数日〜20日くらいで最も明るくなる極大を迎えます。超新星の極大前のようすは、まだそれほどくわしくはわかっていません。発見されるのが爆発後かなり明るくなってからになることが多く、また、望遠鏡のスケジュールや天候の都合で、発見後すぐに詳細な観測ができるとは限らないからです。
今日、急増光しつつある超新星が発見されました。おそらく爆発後間もなくで、今後かなり明るくなるものと期待されます。発見者は山形県山形市にお住いの板垣公一(いたがきこういち)さんで、これまでに10個以上の超新星を見つけているベテランの超新星ハンターです。
超新星の位置は、
赤経: 11時53分55.74秒 赤緯: +52度21分09.4秒 (2000年分点)
で、母銀河であるNGC 3953渦巻銀河の中心から北に93秒角、東に62秒角にあたります。渦巻の腕の外のほうに位置しています。発見画像は、
http://www.rochesterastronomy.org/sn2006/n3953s1.jpg
で見ることができます。
板垣さんがこの超新星に最初に気付いたのは、4月9.6136日(世界時、以下同様)、日本時間にすると9日の23時24分に撮影した画像を見たときです。そのあと、10日4時前まで観測を続けましたが、そのわずか5時間弱の間に、超新星は1等級近くも明るくなりました。報告された明るさは、
9.6136日 16.7等 9.6689日 16.4等 9.7383日 16.0等 9.7835日 15.8等
で、見る見る明るくなっていくようすが見てとれます。このような急増光がとらえられたのは、ごく珍しいことです。
母銀河であるNGC 3953には、5年前に超新星2001dpも出現しています。この超新星は、超新星のなかでも明るい部類であるIa型(核爆発型)超新星で、発見された時にはすでに極大を1か月ほど過ぎていましたが、それでも、14.4等ほどの明るさでした。今回の超新星2006bpが、もしIa型であれば、極大では13等級程度、その他の型(重力崩壊型)だとしても15等程度に明るくなると期待されます。X線観測衛星SWIFTが向けられることも決まっており、今後のタイプ決定と詳細な観測が期待されます。
参考文献
- CBET 470 (2006 Apr. 9)
2006年4月10日