山形の板垣公一さん、超新星2005czを発見

著者 :山岡均(九大理)
連絡先:yamaoka@rc.kyushu-u.ac.jp

山形県山形市の板垣公一さんは、今年に入ってからもすでに2個の超新星を発見されている活発な新天体捜索者です。このほど板垣さんは、彼自身今年3個目となる超新星を7月17.50日(世界時、以下同様)に発見されました。この天体は、翌18.23日に、アメリカのグループによって確認されました。発見時・確認時ともに明るさは16.0等と報告されています。板垣さんが6月20日に撮影した画像では、18.5等より明るい天体は見られませんでした。爆発からそれほど時間が経っていないものと思われます。

超新星が出現したのは、りゅう座の楕円銀河NGC 4589です。超新星の位置は、板垣さんの測定によると、

赤経: 12時37分27.85秒
赤緯:+74度11分24.5秒  (2000年分点)

で、銀河の中心から東に12秒、南に6秒にあたります。

NGC 4589は比較的近傍の銀河で、明るいタイプである核爆発型超新星(白色矮星にガスが降着して重くなり爆発するもの、観測的にはIa型超新星と分類される)であれば、典型的な極大の明るさは14等ほどが期待されます。楕円銀河では星が新しく作られていないとされるため、寿命の短い大質量星による重力崩壊型超新星(観測的にはIa型以外のすべての超新星に対応する)であることは考えにくく、核爆発型である可能性が高いものと思われます。

発見時の明るさは、期待される極大等級より暗く、母銀河のチリによる吸収を受けているか、もしくは核爆発型超新星のなかでも典型的なものより暗めのものであると推量されます。これらはスペクトル観測によって判別できますので、今後のスペクトル観測が待望されます。

参考文献

2005年7月19日

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