【転載】VSOLJニュース(112)
IAUC 8197(Sept. 10)で、ろ座の銀河NGC 1201で明るい超新星が発見されたと報じられています。発見された9月9.5日(世界時、以下同様)に12.5等級と、今年発見された超新星のうちで最も明るいものです。
この超新星は、Lick天文台のKatzman自動撮像望遠鏡(KAIT)によって発見されました。発見前の9月1.5日に同望遠鏡で撮影した画像にも13.0等級で写っているのが確認されています。新天体の位置は、
赤経 3時04分09.32秒 赤緯 -26度05分07.5秒 (2000年分点)
で、母銀河NGC 1201の中心から東に17秒、南に57秒ほどの位置にあたります。
NGC 1201は、ろ座とエリダヌス座の境界近くにあるレンズ状銀河で、超新星はレンズのかなり外のほうに位置しています。この銀河は、エリダヌス座とろ座にまたがる銀河群の一員で、おとめ座銀河団とほぼ同じ距離(7千万光年ほど)にあります。
レンズ状銀河や楕円銀河など、星生成が活発でない銀河では、大質量の星はすでに寿命を終えており、その最期の姿である重力崩壊型の超新星は観測されません。これらの銀河に出現する超新星は、核爆発型(Ia型)の超新星に限られます。発見時の明るさからも、極大付近の核爆発型超新星と考えられます。さらに未確認情報ですが、スペクトルからもこの天体がIa型超新星であると報告されているようです(http://www.rochesterastronomy.org/supernova.html)。この明るい超新星の、今後の光度変化が注目されます。
2003年 9月11日
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