【転載】VSOLJニュース(108)

明るい超新星2003gs


著者 :山岡均(九大理)
連絡先:yamaoka@rc.kyushu-u.ac.jp

 オーストラリアのエバンス(R. Evans)さんが、明るい超新星を発見しました。エバンスさんは、この6月にもM 74に超新星2003gdを発見された(vsolj-news 105)ばかりです。今回もそれに匹敵する、今年これまでで一番の明るさの超新星です。

 エバンスさんは、眼視で超新星捜索をされていますが、7月29.50日(世界時、以下同様)に、くじら座の銀河NGC 936に、14.0等の新しい星を見いだしました。翌30.50日には13.8等で確認しています。この新天体は、オーストラリアのドボズ(T. Dobosz)さんが30.767日に撮影したフィルターなしのCCD画像を山岡が解析したところ、赤等級が13.2等ほど、位置は、

  赤経  2時27分38.36秒
  赤緯 -1度09分35.4秒  (2000年分点)

と求められました。NGC 936の中心から東に13秒、南に15秒ほどのところにあたります。NGC 936は棒渦巻銀河ですが、その棒状の部分の南に位置しています。

セロトロロ天文台で30.40日に撮影したスペクトルから、この超新星は、極大を1週間ばかり過ぎたIa型であろうと推定されています。同天文台での多色測光から、この天体がやや赤いことも報告されており、母銀河内で若干の吸収を受けていると思われます。とは言え、数週間ほどは夜中過ぎの空で、CCD撮影で簡単にとらえられるでしょう。今後の明るさの推移に注目です。

2003年 7月31日

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転載:ふくはらなおひと(福原直人)