【転載】VSOLJニュース(069)

胡昭彦さん、はくちょう座に明るい新星を発見


著者 :加藤太一(京大理)
連絡先:tkato@kusastro.kyoto-u.ac.jp

 岡山県の多胡昭彦(たごあきひこ)さんは、2001年 8月18日に撮影されたフィルムから、8.8等の新天体を発見されました。この位置には既知変光星や、赤外線サーベイでの対応天体がなく、天体は新星ないし爆発型変光星の可能性が非常に高いと考えられ、久万高原天文台の中村彰正(なかむらあきまさ)さんを通じて国際天文電報中央局に報告されました。多胡さんは同じ星野を 8月15,16,17日にも撮影されていましたが、天体は12.0等以下で、急激に明るくなったことがわかります。この通報を受けて、美星天文台の綾仁さんが19日夜、1.01m望遠鏡でスペクトルを撮像され、水素の輝線に加えて、膨張ガスからの強い吸収線(P Cyg型プロファイルと呼ばれます)が重なって見えていることが確認されました。この特徴は極大前の新星のもので、この天体がまだ明るくなりつつあることを示しています。

 精測位置は以下の通りです

   21h 03m 02s.00   (J2000.0)
   +48o 45' 52".9

 その後、ヨーロッパで観測が行われていますが、19.8-19.9日(UT)で、7.0-6.6等ぐらいの光度で観測されているようです。新星が極大前に発見されるのは珍しいことで、多胡さんの発見は貴重なものです。今後どこまで光度を上げるかわかりませんが、明るい間は双眼鏡でも観測できるでしょう。

 なお多胡昭彦さんは近年では V1493 Aql=わし座新星1999 も発見されています。

 観測用星図などは、VSNETのホームページでも公開の予定です。公開時期はまだ未定ですが、以下を時々チェックしていただけるとよいでしょう。

http://www.kusastro.kyoto-u.ac.jp/vsnet/index-j.html

2001年 8月20日

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転載: ふくはら なおひと(福原直人) [自己紹介]