【転載】VSOLJニュース(065')

はくちょう座に新星と思われる天体(続報)


著者 :山岡均(九大理)
連絡先:yamaoka@rc.kyushu-u.ac.jp

 vsolj-news 065でご紹介したはくちょう座の天体を、埼玉県上尾市の門田健一さんは7月17.735日(世界時)にCCDで撮影し、正確な位置を赤経20時07分17.94秒、赤緯+36度04分37.2秒(2000年分点)と測定されました。過去のシュミット望遠鏡による写真(限界等級は21等級程度)では、この位置から4"以内に天体は見当たらず、また赤外線天体のカタログにもこの位置付近に天体はありません。10等級以上の増光を示したことになります。

一方、イタリアのAsiago天文台の飯島孝さんは、この天体のスペクトルを7月17.9日に撮影しました。スペクトルは、天体の膨張を示す広い幅の輝線と青い側の吸収が顕著で、水素の線(Hα線)で測定された輝線の線幅(FWHM)は950km/s、吸収線の位置は-1200km/sの速度に相当しています。これらから、この天体は、極大から間もない古典的な新星であろうと考えられます。今後の光度変化などが注目されます。

2001年 7月18日

この「VSOLJニュース」の再転載は自由です。一般掲示、WWWでの公開等にも自由にお使いください。資料として出版物等に引用される場合には出典を明示していただけますと幸いです。継続的・迅速な購読をご希望の方は、VSOLJの速報メーリングリストにご加入いただくと便利です(お申し込みは vsolj-adm@ooruri.kusastro.kyoto-u.ac.jp まで)。
なお、本文内容に対するお問い合わせは、著者の連絡先までお願い致します。


転載: ふくはら なおひと(福原直人) [自己紹介]