【転載】VSOLJニュース(042)
久しぶりに明るい超新星が、Lick天文台自動撮像望遠鏡KAITによって発見されました。母銀河であるうお座の銀河NGC 524は、おとめ座銀河団の倍ちょっとの距離にあるS0型の銀河です。7月17.5日(世界時)の発見時にすでに14.5等と明るく、翌日18日には14.3等とさらに増光したということで、今後の動向が注目されます。
超新星2000cxの位置は、赤経1時24分46.15秒、赤緯+9度30分30.9秒(2000年分点)で、NGC 524の中心核から23秒西、109秒南に当たります。この銀河はほぼ円形に見えますが、超新星は銀河の主要部からはかなり外にあたります。銀河のまわりには、超新星よりも明るい星がいくつかちらばっていて、星の同定には注意が必要です。GSCに載っている4星をリストしておきます。
GSC# offset from GSC USNO USNO (A2.0) gal. core mag rmag bmag 614- 672 74"E, 30"S 12.97 14.5 15.5 614- 154 30"E,125"N 12.35 12.8 13.9 614-1331 126"E,120"S 12.13 12.5 13.2 614- 576 1"E,137"S 10.78 11.2 12.3
これらの星の等級は精度が良くないので、測光には[vsnet-alert 5130]でB.Skiffさんが挙げられた以下の2星を使うと良いでしょう。
Name RA (2000) Dec s GSC V B-V V-R V-I MS 0122.1+0903 A 1 24 41.1 +09 20 25 G 0614-0573 14.80 0.87 0.45 0.85 MS 0122.1+0903 B 1 24 46.8 +09 20 30 A 15.60 0.87 0.52 0.97
この銀河の距離から推定したIa型超新星の極大等級はおよそ14等で、それ以外のタイプでは多くの場合それよりは暗くなります。また、このような早期の銀河に出現する超新星は、ほとんどがIa型です。しかし、典型的なIa型よりも明るくなる別のタイプの超新星もあります。タイプの決定には今後の分光観測が待たれるところです。いずれにせよ、明るい超新星ですので、今後の継続観測 が望まれます。
2000年7月19日
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