【転載】VSOLJニュース(031)
IAUC 7337で3個の超新星発見が報じられ、今年発見された超新星は199個となりました(このうち2つは誤認)。今年もあと残すところ4日となりましたが、200個を超えるかどうか微妙なところです。この3個のうちひとつ、超新星1999gqは、おとめ座銀河団内に現われたもので、かなり明るいものです。これほど近い超新星は、ひと昔前までは1年に1個程度だったのですが、このところ急増しています。
母銀河のNGC 4523は、大マゼラン銀河にやや似た不規則な形をしています。超新星の位置は、赤経12時33分48.32秒、赤緯+15度10分48.2秒(2000年分点)です。銀河の中心がぼやけていてはっきりしませんが、中心からおよそ北へ46秒、東へ5秒ほどの位置にあたります。超新星の明るさは、23.6日(世界時)の発見時で14.5等、翌日には14.6等と報告されています。
この銀河に重なって前景の星が4つほどあり、超新星の同定には注意が必要です。それぞれの星の、超新星からの離角をまとめると、
GSC 1446-1100 (GSCmag = 12.25) 10"E,17"S GSC 1446-1365 (GSCmag = 14.28) 18"W,79"S GSC 1446-1100 (GSCmag = 14.52) 38"W,75"S unnamed (mag about 16) 7"E,42"S
となります。
岡山県の美星天文台で、発見後3日の26.84日(世界時)に分光観測が行なわれ、この超新星は初期のII型であることが判明しています。おとめ座銀河団に現われる典型的なII型超新星の場合、極大は14.5等級前後なので、今の明るさが極大であるとも考えられますが、今後の変化が注目されます。
1999年12月28日
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転載者註:
原文では「超新星1999gn」となってましたが、本文およびIAUCから「超新星1999gq」の誤りでしょう。