【転載】VSOLJニュース(028)

引き続いて日本で超新星発見


著者 :山岡均(九大理)
連絡先:yamaoka@rc.kyushu-u.ac.jp

11月10日付のVSOLJニュース(025)で、久しぶりの日本での超新星発見についてお知らせしましたが、それから1月足らずで、別の超新星が日本で発見されました。この間には、米国で研究を行なっている日本人による超新星発見も報じられており、この分野での日本人の活躍は目覚しいものがあります。

IAUC 7328によると、長野県在住の高見澤今朝雄さんは、12月3.806日世界時(日本時間の4日未明)に撮影したうみへび座の楕円銀河NGC 2986の写真に、14.6等級の新天体が写っているのを発見しました。やはり超新星などの発見で高名な、山梨県の串田夫妻によって、5.819日にこの天体の実在が確認され、位置も測られています。超新星の位置は、赤経9時44分19.75秒、赤緯-21度16分25.0秒(2000年分点)で、母銀河の中心から東に52秒、北に16秒ほどにあたります。この銀河の周囲にはいくつか明るい前景の星があり、また2分ほど東には別の渦巻銀河があるなど、超新星の同定には注意が必要です。(転載者註:1999年12月10日、赤経値を訂正)

分光観測の結果、この超新星はIa型であることが判明しています。楕円銀河では星の生成は起こっていないと考えられており、そのため寿命の短い重力崩壊型の超新星は出現しません。そのような銀河では、白色矮星の核爆発であるIa型超新星のみが起きるのです。

ただし、今回のものは、スペクトルおよび見かけの明るさから、Ia型超新星のなかでもやや暗い部類に属するものではないかとされています。Ia型超新星には、典型的なものより2等程も暗いものがあることがわかっていますが、今回の超新星1999ghはそこまでは暗くないようです。また、楕円銀河のIa型超新星は、渦巻銀河に出現したものに比べてやや暗いとの研究報告もあります。典型的なものと非常に暗いものとの間を埋める今回の超新星について、今後の観測が重要になっています。

1999年12月6日

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転載: ふくはら なおひと(福原直人) [自己紹介]

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