同じ銀河に今年2個目の超新星

著者 :山岡均(九大理)
連絡先:yamaoka@rc.kyushu-u.ac.jp

超新星は、ひとつの銀河に100年あたり1個か2個くらいしか出現しない稀な現象です。ところが、ひとつの銀河に今年2個目の超新星が発見されたという報告がありました。

IAUC 6998(1998年8月26日付)によると、オーストラリアのアマチュア天文家B.Whiteさんは8月23日、ぼうえんきょう座の棒渦巻銀河NGC 6754に、14.3等の新しい星があるのに眼視観測で気付きました。新天体の位置は、赤経19時11分23.78秒、赤緯-50度38分25.5秒(2000年分点)で、銀河の核から19秒西、5秒北にあたります。同じ銀河に今年3月発見された超新星1998Xは、この新しい星よりも5秒ほどさらに西、8秒ほど南の位置が報告されていて、別の星であることは明らかです。

超新星1998dqは、8月24日の観測で非常に青く見えており、爆発後それほど時間が経っていないことをうかがわせます。また、II型超新星だった1998Xは発見時17等だったことを考えると、これより数段明るいものだとわかります。スペクトル観測はまだ報告されておらず、タイプの決定や今後の光度変化に非常に興味が持たれます。

ひとつの銀河に2つの超新星が同時に観測された例としては、1992年にMCG +10-24-007という渦巻銀河に、超新星1992Rと1992acが出現したというものがあります。今回のものは、それ以来ということになります。

1998年8月27日

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