超新星1998dm

著者 :山岡均(九大理)
連絡先:yamaoka@rc.kyushu-u.ac.jp

これまでも数多くの超新星を発見してきているLick天文台超新星サーチグループが、先日再び、興味深い超新星を発見しました。IAUC 6993(1998年8月23日付)によると、超新星1998dmと名付けられたこの超新星は、くじら座の棒渦巻銀河MCG -01-4-44に出現したもので、位置は赤経1時26分13.97秒、赤緯-6度6分14.0秒(2000年分点)、母銀河の中心から14秒西、37秒南にあたります。

発見は8月22.5日(世界時、以下同じ)で、翌日確認されたのですが、8月17.5日に撮影した画像には写っておらず、爆発後かなり早い時期に発見されたものと思われます。これまでに報じられた等級(発見グループによる、フィルターなしCCD等級)は、以下の通りです。

8月17.5日  >18.5
   22.5     16.8
   23.4     16.5

スペクトル観測から、この超新星は、極大前のIa型超新星であることが明らかになりました(IAUC 6997, 8月25日付)。ただし、典型的なIa型超新星に比べて赤く、また吸収線の様子から、このSN 1998dmは、やや暗いタイプのIa型であろうと述べられています。

Ia型超新星は、以前は極大時の絶対等級がほぼ一定であると考えられており、遠い銀河の距離を測るための基準として有望視されていました。しかしここ10年ほどの研究で、Ia型超新星にも暗いものがあることがわかってきました。しかしその例はまだ少なく、それらの性質の理解にはよりたくさんの観測が必要です。

母銀河の後退速度から推定された距離からすると、典型的なIa型超新星ならば極大時の明るさは14等程度になると見込まれます。SN 1998dmはもう少し暗いのではないかと予想されますが、今後の明るさの変化に注目が必要です。

ファインディングチャートなどの最新情報は、

http://www.kusastro.kyoto-u.ac.jp/vsnet/SNe/sn1998dm.html

で御覧になれます。

1998年8月26日

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