小惑星が地球にニアミス


 日本時間の3月19日早朝、小惑星が地球に4万キロメートルまで近づく、ニアミスが起こりました。ニアミスした小惑星は、2004年3月16日(世界時)に発見された 2004 FH という仮符号の付いた小惑星です。

 地球に接近する天体を探すアメリカのプロジェクトであるマサチューセッツ工科大学(MIT)リンカーン研究所・地球軌道接近型小惑星(NEA)研究チーム(通称LINEAR)によって、18等級の明るさで発見されました。その後の世界各地での観測から、この小惑星が3月18日(日本標準時では19日朝)、地球に4万キロメートルまで接近することがわかり、世界中で観測が行われました。

 日本では、鳥取県のさじアストロパークで、3月19日午前3時過ぎに高速で星空を移動する2004 FHの撮影に成功しています。

 今回のニアミスの結果を分析すると、3月18日22時(世界時)過ぎに南大西洋上空で最接近し、地心距離としては4万3000キロメートルまで近づいたことが、中野主一(なかのしゅいち)さんによって計算されています。この距離は、これまでのニアミス記録の中でも特に大接近といえるものです。これまで地球に近づいた天体の接近距離ベスト10は、以下のようになっています。これで見ても、今回のニアミスが記録的であったことがわかるでしょう。観測技術がすすんで、監視網がさらに充実すれば、今後も同様のニアミスが見つかってくるでしょう。

   小 天 体 の 地 球 接 近 番 付 (2004年3月19日現在)

      接近距離  接近日   天体名    推定直径
       4万km  2004.03.18  2004 FH        30m
        8万km 2003.09.27 2003 SQ222      5m
       11万km  1994.12.09  1994 XM1       10m
       12万km 2002.12.11  2002 XV90      45m
       12万km 2002.06.14 2002 MN        95m
       15万km  1993.05.20  1993 KA2        7m
       15万km  2003.12.09  2003 XJ7       35m
       16万km  2003.09.19  2003 SW130      7m
       17万km  1994.03.15  1994 ES1       10m
       17万km  1991.01.18  1991 BA        10m
       28万km  2003.10.12  2003 UM3       10m

参照

2004年3月20日  国立天文台・広報普及室


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転載:ふくはらなおひと(福原直人)