【転載】国立天文台・天文ニュース(667)

国際天文学連合、小惑星の命名提案ルールの改定


去る7月にオーストラリア・シドニーで開催された国際天文学連合総会で、小惑星の命名に関するルールの一部変更が承認されました。

 小惑星は発見者あるいは、発見に最も貢献した観測者が、その名前を提案できる天体です。日本は、アマチュア天文家によって小惑星が数多く発見されており、提案権を持っている人が多い国です。しかし、このところプロの天文学者による組織的な小惑星の捜索が始まり、その発見数もうなぎ登りで、すでに軌道が確定した小惑星は65,634個あります(2003年6月14日発行 MPC 現在)。

 そのために、このところ命名の提案数も急速に増えてきました。提案された名前は、国際天文学連合の小天体命名委員会によって厳格な審査が行われ、承認されるのですが、あまりに数が増えてきたため、審査に充分な時間がかけられないという実務的な問題が生じてきました。そこで、小天体命名委員会は、提案権を持っているチームあるいは個人が提案できる数を、毎月一個の頻度に制限することにしました。もちろん、これはあくまで命名委員会としての要請で、強い拘束力を持ったものではありません。実際、8月6日に公表された新しい命名でも、スペースシャトル・コロンビア号の事故で亡くなった7名の乗組員の名前が同時に承認されています。委員会のメンバーが納得するような理由があれば、複数の提案も可能と考えられます。

 また、今回の改訂では、以前よりもより強い調子で、会社や製品名などの命名については受け付けないこと、そしてそれらの宣伝や商業行為につながるような命名提案は受理しないことが明確に示されました。

 これまでの国際天文学連合総会では、命名のシステムそのものを見直し、提案権そのものを認めるべきではない、という意見が表明されたこともありました。しかし、現行の命名システムそのものは、多少の問題を抱えつつも、多くの天文学者から支持されており、しばらくは続けられる見込みです。今回の総会でも、日本のアマチュア天文家から、現行システムの継続について要望が表明されたこともあり、その点では、しばらくは心配がないといえるでしょう。

参照

2003年8月29日 国立天文台・広報普及室


 大接近は過ぎましたが、この暫くは大きさ・明るさとも遜色のない状態が続きます。9〜10月にかけて各地で観望会が予定されていますので、ご覧ください。9月9日には月と火星が接近します。


転載:ふくはらなおひと(福原直人)

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