【転載】国立天文台・天文ニュース(493)
リニア彗星のひとつであるC/2000 WM1(LINEAR)の明るくなる時期が近付きました。もっとも明るいときでもほぼ5等程度と思われますから、空の良いところで、辛うじて肉眼で見えるといったところでしょうか。双眼鏡、小望遠鏡には手頃の観望対象です。
リニア彗星(C/2000 WM1)の発見については、昨年末、天文ニュース(405)でお知らせしました。MPECに示されている軌道要素によりますと、この彗星は11月上旬にはほぼ8等の明るさで「ペルセウス座」に見えます。その後「おひつじ座」を通り、12月2日には0.316天文単位でもっとも地球に接近します。このときの光度は5.8等程度と推定され、「うお座」から「くじら座」にかけて移動しているところです。このころは日本では夕方の東の空に現われ、その後ほぼ一晩中見えています。その後、「つる座」から「インディアン座」へと南へどんどん移動し、2002年1月22日に0.555天文単位の距離で近日点を通過します。このときはおよそ5等の明るさですが、日本からは大変見難い位置になります。
このリニア彗星は、きたる12月始めから来年1月いっぱい、ほぼ5等台の明るさで推移します。日本では、11月下旬から12月始めまでが観測しやすい期間でしょう。
MPEC 2001-U43によるリニア彗星(C/2000 WM1)の位置予報はつぎの通りです。
日付 赤経(2000.0)赤緯 地心距離 日心距離 太陽離隔 明るさ 月 日 時 分 度 分 AU AU 度 等 2001 Nov. 12 3 50.03 +44 13.7 0.588 1.534 152.0 8.2 22 2 46.63 +30 58.8 0.402 1.375 162.0 6.9 Dec. 2 1 25.17 + 1 23.9 0.316 1.214 130.0 5.8 12 0 07.45 -29 14.4 0.381 1.051 89.2 5.6 22 23 04.78 -44 58.9 0.527 0.889 64.0 5.6 2002 Jan. 1 22 10.38 -52 11.3 0.693 0.738 48.6 5.4 11 21 15.53 -54 37.2 0.855 0.616 38.4 5.1 21 20 23.55 -52 31.7 0.998 0.557 32.6 5.0 31 19 48.30 -46 25.3 1.108 0.587 31.9 5.4 Feb. 10 19 31.98 -38.25.3 1.179 0.693 36.0 6.3 20 19 26.06 -30 06.6 1.217 0.837 43.1 7.2
2001年11月8日 国立天文台・広報普及室