【転載】国立天文台・天文ニュース(478)
きたる10月8日の未明に、日本の北部で、土星が月に隠される土星食が起こり ます。比較的好条件の食ですから、興味をおもちの方はぜひごらんになってく ださい。 土星が完全に月に隠れるのは、山形県、宮城県を含んでそれより北の地域で す。北海道ならどこでもすっかり隠れます。能登半島の先端や、新潟県の北部 でも土星は月に隠れます。隠岐の島後もぎりぎりで隠れます。福島県の北半分、 新潟県の中央部、対馬の北部では土星の一部が月の後ろに入るだけです。それ より南の地域では、土星は月のすぐそばに近付くだけで、隠れることはありま せん。 土星が月に隠されている時間は、北に行くほど長くなります。たとえば、 都市 潜入時刻 出現時刻 隠される時間 札幌 3時31.5分 4時32.6分 61.1分 盛岡 3時40.5分 4時19.9分 39.4分 仙台 3時49.3分 4時 8.2分 18.9分 などです。ここに示した時刻は、土星の中心が潜入、出現する時刻で、土星の 一部が隠れ始めてからすっかり潜入するまでに、1分以上の時間がかかります。 このときの月齢は20.3で下弦の少し前、土星は月の明るく光った縁から潜入 し、暗い縁から出てきます。月も土星も目で見えますから肉眼での観測も可能 です。しかし、環のある土星が少しずつ月に隠れ、また少しずつ出てくる状況 をじっくり観察するには、やはり望遠鏡を通してご覧になった方がいいでしょ う。このときの月は南中に近く、土星は環の傾きも大きく、たいへん見やすい 状況です。 世界的に見ると今年は土星食が9回あり、今回はその6回目です。このあとさ らに、11月4日、12月1日、12月28日と3回の土星食があります。これら9回のう ち、日本で観測可能なのは、今回の10月8日と、つぎの11月4日の2回だけです。 しかし、11月4日の食は昼間に起こる上に、高度も低く、ほとんどの地点で潜入 は見えても出現を見ることはできないなど、条件はあまりよくありません。な お、2002年には全部で5回の土星食があり、日本で観測可能なのは2回です。 参照 平成13年天体位置表(Mar.24,2000). 平成14年天体位置表(Mar.23,2001).
2001年9月20日 国立天文台・広報普及室