【転載】国立天文台・天文ニュース(449)

アフリカでの皆既日食


 みなさんご存じのように、6月21日にアフリカ大陸で皆既日食が起こります。部分食は南アメリカ大陸でも見られますが、アフリカ大陸の南部が日食の中心地帯になります。日本で見ることはできません。

 この日食の皆既帯は、南西大西洋上で始まって大西洋南部を東に走り、アフリカ大陸に上陸して、さらにマダガスカル島を通過して終わります。皆既帯が通過するのは、アンゴラ人民共和国、ザンビア共和国、ジンバブエ共和国、モザンビーク人民共和国、マダガスカル民主共和国です。この日食を見るためにいくつものツアーが企画され、いずれもそろそろ日本を出発する時期になっています。この機会に、あまり足を踏み入れることのないアフリカ大陸を見てくるのも一興でしょう。アフリカで皆既日食になる時間帯は、日本時間で21日の21時40分から22時30分頃です。インターネット中継も試みられるといいますから、関心のある方はご覧になってください。

 日食はほぼ18年(厳密には6585.32日)で繰り返す性質があり、この周期をサロスといいます。この周期で、太陽、地球、月の位置関係がほぼ同じになるのです。このとき、日食の起こる場所は地球上の経度でほぼ120度西に移ります。今回の日食の1サロス前は、1983年6月11日のインドネシア皆既食でした。ご記憶の方もありましょう。また、1サロス後の日食は2019年7月3日(日本時)に南太平洋で起こるものです。このときの皆既帯はほとんどが海上ですが、夕方にチリ、アルゼンチンを通ります。

 古代にもすでに日食が予言されていますが、これはサロスに基づいて予測されたと思われています。こうしてサロスごとに日食は繰り返しますが、それが無限に続くのではありません。太陽、地球、月の位置関係はそのたびに少しずつずれますから、いずれはサロスが訪れても日食が起こらなくなる時がきます。

 今回のアフリカ日食に続く日食は今年12月15日(日本時)に起こる金環食で、金環帯は東太平洋を通り、夕刻にコスタリカ共和国、ニカラグア共和国に達します。また、つぎの皆既食は2002年12月4日(日本時)に再びアフリカで起こります。これらの日食はどちらも日本で見ることはできません。日本で見える次の日食は、2002年6月11日で、40パーセントほど欠ける部分食です。ついでに述べておきますと、来る7月5日から6日にかけて、50パーセントほど欠ける部分月食があり、日本でも見えます。このように、引き続く満月と新月、あるいは新月と満月のときに、日食と月食はしばしばセットで起こります。

参照

2001年6月14日 国立天文台・広報普及室


転載: ふくはら なおひと(福原直人) [自己紹介]

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