【転載】国立天文台・天文ニュース(447)
青森県の新聞「東奥日報」6月4日版は、4年前に偶然拾い上げた石が「いん石」であることがわかったと報じています。
青森県十和田市の石倉清志さんは、1997年4月ころ、自宅敷地内の倉庫周辺を草刈り中、草むらの上にちょこんと乗っていた石に気付きました。すぐそばのトタン屋根に同じ形の四角い穴もあいていました。「どこから飛んできたのか」と不思議に思いながらも、その石を拾い上げ、自宅のタンスの上に置いておいたそうです。
この話を聞いた青森高校の小田桐茂良教諭は、これはいん石ではないかとの疑問をもち、昨年10月に石倉さんからこの石を預かり、国立科学博物館の米田成一主任研究官に鑑定を依頼しました。その結果、この石は確実にいん石であることが解りました。米田研究官によりますと、これは石質いん石に属し、表面の様子などから、1985年〜90年ころに落下したのではないかと推定しています。米田研究官は、6月に東京で開かれる「南極隕石シンポジウム」で、このいん石を「(仮称)十和田いん石」として報告することにしています。
このいん石は重さ53.5グラムの比較的小さいもので、ほぼ4センチに3センチの四角形、厚みが3.5センチで、てのひらにすっぽり入る大きさです。青森県で隕石が発見されたのは、1984年6月30日に青森市松森に落下した「青森いん石」以来17年ぶりのことです。それ以前の青森県にいん石落下の言い伝えはありますが、確実に落下した記録はありません。
いん石は、落下を観測してから発見する「落下いん石」と、落下そのものは観測されずに地上で発見される「発見いん石」とにわけられます。今回のいん石は「発見いん石」です。最近の例では、昨2000年に確認された「狭山いん石」が発見いん石で、落下の目撃はありませんが、1986年に落下したものと見られています。落下いん石としては、1996年1月7日に落下した「つくばいん石」が記憶に新しいところです。1999年9月26日の「神戸いん石」も落下いん石でした。参照
2000年6月7日 国立天文台・広報普及室
訂正 天文ニュース(445)「カイパーベルト天体(20000)ヴァルナの直径と反射率」の中で、ヴァルナの直径を700キロメートルと書いたところが一カ所ありました。これは当方の入力ミスによるもので、正しくは900キロメートルです。お詫びして訂正いたします。