【転載】国立天文台・天文ニュース(444)
軌道の小さい小惑星1999 KW4は連星系であることがわかりました。
ジェット推進研究所のベナー(Benner,L.A.M.)たちの報告によりますと、カリフォルニア州ゴールドストーンの口径70メートル電波望遠鏡により5月21日から23日にかけておこなった観測で、1999 KW4が、少なくとも2キロメートル離れた連星であることを示すディレイ・ドップラー・レーダー像が得られたそうです。主星と伴星の大きさは3倍以上違っているということでした。確認のため追加のレーダー観測が企画され、光学観測も望まれています。
1999 KW4は、1999年5月20日にリンカーン研究所チームが発見した小惑星です。軌道がたいへん小さく、長半径がわずか0.6423天文単位しかありません。いわゆるアテン天体のひとつです。軌道傾斜角が39度もあり、近日点では0.20天文単位にまで太陽に近づきます。遠日点距離は1.08天文単位ですから、いつか地球に衝突する可能性を潜在的にもつ小惑星です。もちろん、いまのところ衝突のおそれはまったくありません。現在11等ほどの明るさで、「へび座(頭部)」を北西に移動しています。
お知らせがちょっと遅れましたが新星が発見されています。わし座新星2001です。
イギリス、ベッドフォードシャーのコリンズ(Collins,M.)は、新星、超新星捜索のため写真撮影でパトロール中、5月11日、「わし座」に10.9等の変光天体を発見しました。以前の撮影を調査したところ、4月25日に12.1等で撮影されていることがわかりましたが、それ以前の写真には写っていませんでした。報告を受けてラ・パルマのアイザック・ニュートン・グループやテル・アビブ大学のシェマー(Shemmer,O.)などかスペクトル観測をおこなった結果、新星であることが確認されました。そしてこの新星には「わし座新星2001(Nova Aquilae 2001)」の呼び名が与えられました。精密位置はつぎのとおりです。
赤経 19h 07m 28.41s 赤緯 +11° 44' 45.8" (2000.0)
2001年5月31日 国立天文台・広報普及室