【転載】国立天文台・天文ニュース(410)

次回の月食


 この1月10日未明にに皆既月食がありました。悪天候のため、日本で現 実に観測できたところは少なかったようですが、ユーラシア、アフリカ 大陸の各地からは、写真を交え、観測されたことが伝えられました。

 この月食に関連して、次回の月食がいつになるかが報道され、その期 日がマスコミによってまちまちであったことから、10日に、国立天文台 に問い合わせが殺到しました。これは、あらかじめの問い合わせに対し、 当広報普及室からの回答に十分意を尽くさない点があったことにもより ますが、問い合わせの方が、質問を簡単に考え過ぎていることにもよっ ています。

 月食には皆既月食もあれば部分月食もあります。日本で見える月食も 日本で見えない月食もあります。日本の一部の地域だけで見える月食も あります。これをどう考えるかによって「次の月食」の期日が変わりま す。そのへんを十分に理解せず、ただ「次の月食はいつか」と単純に考 えてしまうと、誤解を生む原因になります。

 今後の月食は、つぎのように起こります。

(1) 2001年7月5日から6日にかけて部分月食。
日本で見え、約50%欠ける。

(2) 2003年5月16日、 皆既月食。日本では見えない。

(3) 2003年11月9日、 皆既月食。日本では見えない。

(4) 2004年5月5日、 皆既月食。西日本だけで皆既が見られる。

(5) 2004年10月28日、皆既月食。日本では見えない。

(6) 2005年10月17日、部分月食。
日本で見えるが、ほんの僅か(7%)欠けるだけ。

(7) 2006年9月8日、 部分月食。日本で見え、19%欠ける。

(8) 2007年3月4日、 皆既月食。日本では部分食の始まりだけ見える。

(9) 2007年8月28日、 皆既月食。日本全国で見える。

 したがって、日本で見える皆既月食にしても、全国で見えるという条 件なら2007年8月28日まで待たなくてはなりませんが、どこかで見えれ ばいいのなら、2004年5月5日になります。とにかく、条件をはっきりさ せない限り、前回はいつか、次回はいつかと質問は、あまり意味がない ように思います。これは月食に限らず、どんな天文現象でも同様です。

参照

2001年1月18日 国立天文台・広報普及室


転載: ふくはら なおひと(福原直人) [自己紹介]

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