【転載】国立天文台・天文ニュース(396)

木星と土星の新衛星


 木星に1個、土星に2個の新衛星が発見されました。

 ハワイ大学のシェパード(Sheppard,S.S.)たちは、2.2メートル反射望遠鏡に よる11月21日から25日にかけての観測で、木星に新衛星らしい天体を発見しま した。これには、すぐにS/2000 J1の認識符号が与えられました。引き続いて、 この衛星は8月6日にホルマン(Holman,M.)が3.6メートルのカナダ・フランス ・ハワイ望遠鏡で観測した天体と同じであろうと推定され、さらに、天体物理 学センター(Center for Astrophysics; CfA)において、マースデン(Marsden,B.) の示唆によりウイリアムズ(Williams,G.V.)が計算した結果、この衛星は1975年 にコワール(Kowal,C.T.)とローマー(Roemer,E.)が発見し、その後行方不明になっ ていた衛星を再発見したものであることが確実となりました。この衛星の軌道 要素は、軌道傾斜角45.6723度、離心率0.204340、長半径0.049380 AUで、129.71 日の周期で木星を回っています。確認された木星の衛星はこれで18個になりま した。

 グラッドマン(Gradman,B.)たちが土星に4個の新衛星を発見したことはすでに お伝えしました(天文ニュース388)。新衛星はこれだけにとどまらず、グラッド マンたちはさらに2個の新衛星の発見を追加しました。これらは、ヨーロッパ南天天文台の2.2メー トル、マウナケア山の3.6メートル、キットピークの2.3メートル、ヨーロッパ 南天天文台の8メートルVLTなどの望遠鏡により、この8月から11月にかけて22等 台の明るさで観測、確認された結果で、これら新衛星の認識符号は、S/2000 S5 およびS/2000 S6となりました。マースデンたちの計算による軌道要素をさきに 発見されたS/2000 S2とともに示しますと、以下のようになります。

                         軌道傾斜角      離心率           長半径
             S/2000 S2      48度         0.46            0.098AU
             S/2000 S5      49度         0.14            0.074AU
             S/2000 S6      47度         0.38            0.085AU

ただし、S/2000 S3とS/2000 S4はまだ軌道がはっきりせず、早急な追加観測が 望まれます。また、S/2000 S1は逆行で、第9衛星フェーベにつぎ、土星の二つ 目の逆行衛星です。これで、確認された土星の衛星は、惑星としては最多の24 個になりました。

参照

2000年11月30日 国立天文台・広報普及室


転載: ふくはら なおひと(福原直人) [自己紹介]

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