【転載】国立天文台・天文ニュース(395)
熊本県小国町の宇都宮章吾(うつのみやしょうご)さんは、口径15センチ双眼 鏡による眼視観測で、11月18日「ほ座」に8.5等の彗星があることに気付きま した。この発見は洲本市の中野主一(なかのしゅいち)氏を通じて国際天文学連 合に報告され、まもなく新彗星であることが確認されました。また、ニュージー ランドのジョーンズ(Albert F. Jones)さんも25日に同彗星を独立に発見しま した。ジョーズさんは、1946年に変光星観測中に偶然新彗星(C/1946 P1)を発見 している、ベテラン変光星観測者です。
この新彗星の認識符号は C/2000 W1、通称は宇都宮・ジョーンズ彗星です。 この彗星は発見後南下してしまい観測し難い位置にいますが、年末にはまた やや見やすくなりそうです。太陽からの距離、地球からの距離も近いので、そ の頃には、小口径の望遠鏡や双眼鏡でも見える明るさです。国際天文学連合回 報による暫定的な放物線軌道と、それによる予報位置はつぎのとおりです。
近日点通過時刻 = 2000 Dec. 26.56 TT 近日点引数 = 51.52 度
昇交点黄経 = 10.81 度 (2000.0)
近日点距離 = 0.3214 AU 軌道傾斜角 = 160.16 度
日付 赤経(2000.0)赤緯 地心距離 日心距離 太陽離角 明るさ
2000 時 分 度 分 AU AU 度 等
Nov. 27 16 37.9 -74 25.1 0.290 0.846 53.4 7.1
28 17 45.64 -69 33.3 0.303 0.825 50.1 7.1
29 18 23.11 -64 14.2 0.320 0.804 47.3 7.1
30 18 45.59 -59 08.4 0.341 0.783 45.0 7.1
Dec. 1 19 00.18 -54 29.5 0.364 0.762 43.2 7.1
2 19 10.22 -50 20.7 0.390 0.741 41.6 7.2
3 19 17.43 -46 40.9 0.418 0.720 40.3 7.2
4 19 22.75 -43 27.5 0.448 0.698 39.2 7.2
5 19 26.74 -40 37.2 0.479 0.677 38.2 7.2
6 19 29.74 -38 07.0 0.512 0.656 37.2 7.2
7 19 32.00 -35 54.0 0.545 0.634 36.3 7.2
8 19 33.65 -33 55.9 0.579 0.613 35.4 7.2
9 19 34.81 -32 10.5 0.614 0.591 34.4 7.2
10 19 35.55 -30 36.1 0.649 0.570 33.5 7.1
11 19 35.93 -29 11.3 0.685 0.549 32.5 7.1
12 19 35.98 -27 54.7 0.721 0.528 31.5 7.0
2000年11月27日 国立天文台・広報普及室