【転載】国立天文台・天文ニュース(339)
4月7日に北海道でオーロラが見えました。
北海道、陸別町の銀河の森天文台は、同じく陸別町の名古屋大学太陽地球環境研究所、陸別総合観測室からオーロラ出現の連絡を受け、そのオーロラを確認、4月7日20時30分から23時30分にかけて、その写真撮影に成功しました。観測したオーロラは、北の空にぼんやりと広がる赤い光で、夜がふけるにつれて、しだいに弱まったということです。この色は波長630ナノメートルの酸素原子の光です。日本で肉眼でオーロラが見えたのは、1992年5月10日以来約8年ぶりでした。
名大太陽地球研、陸別総合観測室によりますと、オーロラは同日未明の3時過ぎにはすでに出現していて、観測室の自動観測、高感度全天カメラと分光測光計に記録されていました。しかし、このときは、肉眼で見えるかどうかギリギリの明るさに過ぎませんでした。これに比べて同日夜ははるかに明るく、肉眼でも見え、カメラでも1分の露出で十分に撮影できたということです。このオーロラは、7日1時40分頃から発達した太陽の磁気嵐に伴なって出現したものでした。
オーロラというと、極地域で見られるカーテン状の光を思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし、日本で見られるオーロラは、低緯度オーロラといわれるもので、今回見られたように、暗赤色の光が、あまり動きを見せずに幕のように広がっただけのことが多いのです。これは、太陽の磁気嵐によって生じた電子が、北緯50度から60度あたりの比較的磁気緯度の低い地帯に到達してオーロラを出現させたとき、その上空の赤い部分だけを見ているものと思われます。昔からこの低緯度オーロラは何回も出現の記録があり、歴史的には「赤気(せっき)」と呼ばれてきました。遠方の火事と誤認されたという話も伝えられています。日本では、北関東、長野県あたりまでときに見られていますが、明和7年7月28日(1770年9月17日)には長崎でも見えたという記録が残されています。
太陽活動はいまが活発な時期であり、2000年のうちにその極大を迎えると思われています。近い将来に、また日本でオーロラが見えるかもしれません。
参照
2000年4月13日 国立天文台・広報普及室