【転載】国立天文台・天文ニュース(311)

肉眼でも見ることができるわし座新星


 IAUC 7323によると、ポルトガルのアルフレッド・ペレイラ(Alfredo Pereira)は、双眼鏡(口径10cm、倍率14倍)での捜天観測中、12月1.785日(世界時)に、わし座に6.0等星の新星を発見しました。その後の観測から、新星はさらに光度を増しつつあり、12月2.921日(世界時)には3.7等と報告されています(IAUC7325による)。

 この新星V1494 Aql (または Nova Aql 1999 No.2 と称す)の位置は

   赤経: 19h 23m 5.38s
    赤緯:+ 4°57' 20.1"  (2000.0年分点)

と発表されており、わし座δ(デルタ)星の北1゜強の探しやすい場所にあります。新星の減光速度によりますが、今後しばらくの間は夕方の空に肉眼ないし双眼鏡で認めることができるでしょう。平均的な新星の爆発振幅を考えると、この新星は最近の新星の中でも相当明るい等級に達するのではないかと期待されます。

 新星は近接連星系中の白色矮星に降り積もったガスが爆発的に核融合反応を起こし、星の表面を吹き飛ばす現象であると考えられています。新星は私たちの銀河系の中では年に数個発見されていますが、肉眼で見えるほど明るくなる新星はかなりまれです。北半球からよく見ることができた最近の肉眼新星としては、1992年のはくちょう座新星(Nova Cyg 1992 = V1974 Cyg、4等)があります。

参照

1999年12月3日 国立天文台・広報普及室


転載: ふくはら なおひと(福原直人) [自己紹介]

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