【転載】国立天文台・天文ニュース(293)
9月26日20時20分ころ、神戸市北区筑紫が丘の平田良一さん宅で、「ドーン」という音とともに木造二階建て住宅の屋根と天井を突き破って石が落下、二階のこども部屋に砕けた石が散らばりました。散乱した石は5センチくらいのもの2個をふくめて約10個、合計136グラムでした。平田さん宅の天井には、直径約10センチの孔が開きましたが、幸いにして人にはなんのケガもありませんでした。
この時刻には、近畿、中国、四国など西日本の各地で、神戸方向に落ちていく明るい火球が目撃されています。そこから見て、神戸に落下したものは間違いなく隕石と思われます。地表と45度くらいの角で西から東へ向かうおよその経路が推定されていますが、はっきり確定されたものではありません。136グラムの石は、隕石としてはごく小さなものです。しかし、兵庫県佐用町からは、火球が末端で分裂したことが観察されています。したがって、どこか近所に、上記のもの以外に別の隕石が落ちているかもしれません。
隕石には、一般に落下地点の名がつけられます。今回落下したものは、習慣にしたがって、たぶん「神戸隕石」と呼ばれるものと思われます。なお、日本に隕石落下が確認されたのは、1996年1月7日に、茨城県つくば市を中心に「つくば隕石」が落下して以来3年8ヶ月ぶりのことです。また、兵庫県に隕石が落下したものとしては、1904年4月7日に多紀郡篠山(ささやま)町に落下した隕鉄の岡野隕石、1880年2月28日に朝来(あさご)郡和田山町に落下した竹内(たけのうち)隕石の記録があります。
参照
1999年9月30日 国立天文台・広報普及室
訂正 天文ニュース(292)で、S Ori 47などの観測日付を1999年11月とお伝えしましたが、これは1997年11月の誤りでした。お詫びして訂正いたします。