【転載】国立天文台・天文ニュース(209)

ジャコビニ・ジンナー彗星に関連する流星群出現(速報)


 毎年10月9日頃に極大日を迎えるりゅう座γ流星群は、ジャコビニ流星群として知られる流星群で、13年周期で流星出現数が大きく増加します。流星は、彗星が残した微細なチリが大気に飛び込んでくるときに起こる発光現象ですが、ジャコビニ群の源となる流星のチリに地球が遭遇するのは、日本時間で10月9日午前6時頃と予測され、そのころ比較的多くのジャコビニ群に属する流星が出現するのでは、と期待されていました。

 10月8日夕方から翌9日明け方にかけて渡部潤一ら国立天文台広報普及室の観測チームは、国立天文台堂平観測所で観測を行ないました。当日は幸い晴天に恵まれ、予報より8時間以上も早く、ジャコビニ流星群の出現が捉えられました。出現のピークは8日21時〜23時で、23時を過ぎるとほとんど認められなくなりました。ピーク時に見えた流星数は、肉眼で一人が1時間に50〜60個でした。

 また、国内のアマチュア天文団体で、流星を専門に研究している、『日本流星研究会(NMS)』のホームページ(http://www2u.biglobe.ne.jp/~nms/)には、未集計ながら、1時間当あたりに全天で400個も流れたとの推測が掲示されています。詳しい解析には時間を要しますが、ジャコビニ流星群は前回1985年の時以上で、期待に反せず活発であったといってよいでしょう。

 今年は、同じく33年ぶりに沢山の出現が期待される、しし座流星群の影に隠れて、それほどクローズアップされていなかったジャコビニ群が、予報時刻を大きく外れて、しかも予想外の出現をした事実は、こうした流星群の出現予測の難しさを改めて感じさせます。

1998年10月9日        国立天文台・広報普及室


転載: ふくはら なおひと(福原直人) [自己紹介]

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