【転載】国立天文台・天文ニュース(143)
今年の「しし座流星群」は、今回の母彗星回帰による流星出現のピークと推測されている1998年、1999年を目前にして、その際の出現数を占うためにも重要と考えられていました。今年もっとも流星出現が期待されたのは11月17日から18日にかけての夜で、各地でその観測がおこなわれました(天文ニュース138参照)。
国際天文学連合回報(IAUC 6772)によると、もっとも盛んに流星が出たのは17日の12時から14時(世界時)ころで、この間、マイナス4等からマイナス9等にもなる明るい流星がいくつも現われ、全体として中程度の出現であったということです。観測ができたのはもちろんこの時間帯に夜であったところで、アメリカ、カリフォルニア州、アリゾナ州の観測では、12時過ぎに流星出現数が毎分1-2個に達し、そのあと急に出現が減ったということです。またハワイからは、13時ころに1時間当たり40個の出現になり、流星の4分の1は1等級より明るいものであったと報告されています。
日本では、17日の昼間は雨模様のところが多く、心配されましたが、夜に入ってから晴れて、観測ができたところが多かったようです。しかし、放射点が地平線から昇るのが日本時間で17日の23時ころであり、上記のピークの時間帯が過ぎてしまってからになりましたし、月令17の月が明る過ぎたため、あまり見事な出現は見られませんでした。それでも、広報普及室のメンバーのひとりは、夜明けまで、1時間当たり10個程度の明るい「しし群」の流星を観測することができました。日本ではどこでもその程度ではなかったかと思われます。また、愛知県豊川市の鈴木さんは、日本時間の2時から6時過ぎまで、50メガヘルツの電波観測で、1時間当たり60-80個の流星エコーをとらえ、第二のピークがあったのではないかという示唆をしています。
まだ情報は十分ではありませんが、これまでにわかった今年の状況から見て、来年の「しし座流星群」は、1時間に何千個という大出現は無理かも知れませんが、日本ではかなり期待ができそうに思われます。
参照1997年11月20日 国立天文台・広報普及室