ブラッドフィールド彗星、太陽観測衛星で見え始める

 国立天文台アストロ・トピックス(7)で紹介した新彗星、ブラッドフィールド彗星(C/2004 F4)の姿が太陽に近づき、尾を延ばした姿が太陽観測衛星の視野にはいってきて、インターネット上の画像で眺めることができるようになりました。

 この彗星は、4月13日に日没直後の西の地平線近くで、約3等級という明るさで輝いていましたが、その後、太陽にどんどん近づいていったために見えなくなってしまっていました。これから、4月下旬になって日の出前の東の地平線に姿を現すまでは、地上では観測できないわけです。

 ところが、このブラッドフィールド彗星は、太陽に非常に近づくタイプの軌道を持っています。太陽に最接近する4月17日には、その距離が 0.16 天文単位となります。その前後には、太陽観測衛星である宇宙天文台ソーホー(SOHO)によって観測されるのでは、と期待されていました。ソーホーは、コロナグラフと呼ばれる装置を搭載しており、太陽そのものを覆い隠して、その周りのコロナを常時観測しています。これまでも太陽に近づいて明るくなった彗星が多数、発見されています。このコロナグラフの画像は、リアルタイムでインターネット上に公開されており、誰でも見ることができるようになっています。

 16日早朝、ブラッドフィールド彗星が、尾をのばした彗星らしい姿となって、そのコロナグラフの視野に入ってきました。17日の最接近を挟んで、ここ数日は、このコロナグラフの C3 と呼ばれる画像で、誰でもブラッドフィールド彗星を楽しむことができるでしょう。

参照

2004年4月16日            国立天文台・広報普及室

転載:ふくはらなおひと(福原直人)